利根川プログラム(臨地実習バスツアー・群馬大学)
令和5年度夏季バスツアー
教員が同行して埼玉県と群馬県の病院に移動して埼玉医科大学の学生と合流して見学します。
令和5年度夏季の開催(バスツアー)は下記のコースでした。
みらい1コース 東松山市立市民病院ー伊勢崎コース医療機関名開催日定員市民病院 日程:8/14(月)
みらい2 コース 公立藤岡総合病院ー小鹿野中央病院 日程:8/15(火)
みらい3コース 済生会加須病院ー公立館林厚生病院 日程:8/16(水)
みらい4 コース 埼玉県立循環器・呼吸器病センター (午後のみ)日程:8/17(木)
みらい5 コース 公立藤岡総合病院ー秩父市立病院 日程:8/21(月)
みらい6 コース 太田記念病院ー深谷赤十字病院 日程:8/22(火)
バスツアー 学生レポート(一部)
バスツアーに参加した学生のレポートの一部です。
バスツアー:8/16(水)みらい3コース
◆見学先病院1:済生会加須病院
まず初めに院長から済生会加須病院の説明があった。加須病院は昨年に久喜市から移転してきたばかりであり、院内に24時間対応可能な救急ワークステーションを新設したこと、手術ロボットのダヴィンチを導入したことなど、加須病院の特色について教えていただいた。
次に院内見学として、各診療科の所在や、先述した救急ワークステーション、手術室、医局、病棟を見学させていただいた。手術室には手術ロボットであるダヴィンチを見ることができた。病棟見学中には、アイフォンを駆使してカルテの記載や各診療科のコミュニケーションを実施している様子のデモンストレーションを拝見させていただいた。最後に質問時間が設けられた。私からは久喜市からの移転理由についての質問をさせていただき、久喜市には他に中核病院があること、加須周辺には中核病院がないことなどの理由から移転することになった旨の回答をいただいた。
◆見学先病院2:公立館林厚生病院
まず初めに院内見学として、研修医の方中心に案内いただき、手術室、救急科、病棟、研修医医局について見学した。
続いて屋上での写真撮影ののち、会議室にて5名の2年目研修医の方々との懇親会が設けられた。私からは研修医の方にどの診療科に進みたいかについて質問をさせていただき、5名から各々回答をいただいた。
◆群馬県と埼玉県の両方の病院を見学した感想を記載してください
加須病院は新設されたばかりというのもあるかもしれないが、最新設備やIT化が館林厚生病院より進んでいた印象であった。医師の働き方改革が叫ばれる中、業務の効率化は非常に重要な手段であると感じる。業務の効率化ができれば医師の労働時間が減少し、医師の離職低下を防ぐことができる。また、仕事と休みのオンオフのメリハリをつけることが出来れば、業務への集中度も増し、患者へより良い医療を提供できるように感じる。
利根川流域では埼玉の方が中核病院が少ないためか、群馬の利根川流域の病院に患者さんが沢山流出している現状を知ることができた。この地域は患者の数に比して病院、そして医師の数が不足しており、医師数をどう増やしていくか大きな課題だと感じた。緊急性を要する患者の受け入れについては、患者さんの居住地からより近くの病院で受け入れができる体制を構築することが重要であり、そのためには、県を超えた協力体制の構築、県を超えた医師の流動化による病院間の応援体制構築が今後より一層必要になってくるのではないかと感じた。
バスツアー:8/22(火)みらい6コース
◆見学先病院1:太田記念病院
太田記念病院は救命救急センターで、三次救急を行う急性期型病院として運営している。栃木、埼玉に隣接している位置にあり、埼玉県北部からの患者も多く受け入れている。院内見学では研修医室、医局、図書館などを回った。太田記念病院では研修医室の部屋は医局とは別にある。手技を練習するためのスキルラボセンターがあり、様々な模型がおいてあった。これは近年に拡大する予定だそうだ。ヘリポートは駐車場の方にあり、ヘリポートから一度救急車に載せて、救急の治療室まで連れて行くようだ。病床数は404床に対して研修医は一年7人で、幅広い症例に接することができる。
◆見学先病院2:深谷赤十字病院
深谷赤十字病院も三次救急病院である。深谷市は埼玉県北部に位置し、利根川を挟んで群馬県を接している。病院は閑静な住宅街や大型ショッピングセンターが近くにある。様々な設備が充実していた。外科では今年から手術支援ロボットda Vinci Xiを用いた手術を開始している。電子カルテやクラウドコンピューティング技術を積極的に取り入れている。ヘリポートは屋上にあり、治療室までストレッチャーで連れて行くようだ。病床数は474床に対し研修医は一年8人で、多くの症例に接することができる。
◆群馬県と埼玉県の両方の病院を見学した感想を記載してください
どちらも三次救急病院として重要な役割を果たしている。太田記念病院は東毛地区で唯一の救命救急センターで救急車応需率は98%である。深谷赤十字病院は埼玉県北唯一の救命救急センターであり、広域な二次救急医療圏の中心的存在として位置づけられている。どちらも広域な医療圏の中心的存在として重要な役割を果たしている。病院の構造はどちらも導線がよく、効率よく医療が提供できるようになっていた。今回の見学では、隣接している埼玉県内での医師の分布の偏りが激しく、県北は医師不足が著しいことを学んだ。太田記念病院には群馬県以外にも埼玉県北部や栃木県から患者が訪れていた。その為、病院は県をまたいで協力を行うことが重要であることを知った。退院後のフォローアップも患者の生活圏の医療機関と連携して行うことが重要である。
それぞれの病院の特色と研修医として経験できる内容についても学んだ。どちらも三次救急病院として、一次から三次まで研修医がファーストタッチで診察し、上級医の指導のもと主体的に診断と治療をすることができ、研修修了時にはしっかりと「動ける医師」になれるという印象を受けた。深谷赤十字病院は救急科、循環器科、消化器内科が強く、太田記念病院は救急科、麻酔科、循環器内科、消化器内科が強いとのことだった。どちらの病院も忙しいが、早い段階から幅広い症例をみて、実践力がつくと思う。